【首都直下型地震】あなたの街も?想定被害と命を守る備え

政府や各自治体が発表している最新の被害想定によると、首都直下型地震(マグニチュード7クラス)が発生した場合、東京・神奈川・千葉・埼玉を中心とした広域で、甚大な人的・物的被害が発生するおそれがあります。

この都市圏は人口密度が非常に高く、交通網やインフラが集中しているため、被害が連鎖的に広がりやすいという特徴があります。

ここでは、主な想定被害と地域ごとのリスク、備えておきたいポイントについてまとめました。


建物倒壊のリスク

東京都だけでも、最大で約19万棟の建物が全壊・焼失すると想定されています。

とくに倒壊のリスクが高いとされるのは、木造住宅が密集している地域です。たとえば、足立区・墨田区・世田谷区などがこれに該当します。

1981年以前に建てられた旧耐震基準の住宅は、震度6強以上の揺れに対応していない可能性が高く、大地震では倒壊する危険があります。倒壊により道路がふさがれてしまうと、消防や救助の手が届かなくなる事態も想定されています。


地震火災と延焼

東京23区では、最大で約6,000件もの火災が同時に発生する可能性があります。

地震の直後は、ガス機器の破損や電気コードのショート、倒れたストーブなどが火災の原因となります。木造住宅が密集している地域では、火災が風にあおられて「火災旋風」のような現象が起きる可能性も指摘されています。

また、停電後に通電が再開された際、電気が原因で火災が起きる「通電火災」にも注意が必要です。感震ブレーカーの設置が、こうした火災を防ぐ有効な手段とされています。


ライフラインと交通の麻痺

被災直後には、電気・水道・ガスといったライフラインが停止し、復旧までに時間がかかると想定されています。水道管の破裂による断水、ガス供給の停止、電気の長期停電が重なることにより、日常生活が困難になるおそれがあります。

また、鉄道や高速道路も広範囲にわたって麻痺し、帰宅困難者は最大で500万人にのぼると見られています。

物資不足も深刻で、コンビニやスーパーの棚から商品が消え、支援物資が届くまでに時間を要する地域も出てくると考えられます。

無理に自宅へ帰ろうとすることで、余震や火災に巻き込まれる危険もあるため、「その場にとどまる」という判断も重要になります。


津波による被害

東京湾や相模湾沿岸では、最大で3メートルの津波が発生するおそれがあります。

たとえば、浦安市・市川市(千葉県)、横浜市南部や川崎市(神奈川県)などの沿岸部では、防潮堤の高さを超える津波が発生する可能性が指摘されています。

東京湾は閉鎖性が高く、津波が一気に押し寄せてそのまま停滞する「引かない津波」の危険性もあります。津波避難ビルや高台への避難ルートを、事前に確認しておくことが大切です。


【地域別】被害想定

神奈川県

神奈川県では、「都心南部直下地震」や「三浦半島断層群地震」など、6つの地震が想定されています。

津波被害については、沿岸部で浸水域や浸水深が広範囲に及ぶとされ、横浜市・川崎市・三浦市などの市町村では、津波避難ルートやハザードマップの確認が重要です。

千葉県

「千葉県北西部直下地震」では、建物の全壊・焼失が約81,200棟、死者数が約2,100人と想定されています。

また「房総半島東方沖日本海溝沿い地震」では、最大8.8メートルの津波が予想されており、沿岸部では迅速な避難が必要です。

九十九里浜や銚子・館山地域では、発生からわずか数分で津波が到達する可能性があり、即時の判断と行動が求められます。

埼玉県

内陸県である埼玉県では津波の心配はありませんが、強い揺れによる建物被害や火災、液状化などの被害が懸念されています。

とくに、さいたま市南部・川口市・越谷市などの都市部では、避難所の過密や救援の遅れなどが問題になる可能性があります。震度6強以上となるエリアもあり、決して「安全な場所」とは言い切れません。


その他のリスクと影響

  • 富士山の噴火による火山灰の飛散
  • 医療機関の機能停止と救急の逼迫
  • 避難所における感染症リスク(インフルエンザ、ノロウイルス、コロナなど)
  • 通信の断絶による情報不足や混乱

まとめ:防災は「今」から始めましょう

被害想定は、あくまでも「最悪のケース」までを含んだものですが、これらを知ることで、私たちは命を守るための行動を事前に選ぶことができます。

以下のような日常的な備えが、大きな被害から自分と家族を守る力になります。

  • 地域のハザードマップを確認しましょう
  • 家族で避難場所・連絡方法を共有しておきましょう
  • 防災バッグや備蓄品を定期的に見直しましょう
  • 職場や学校と、帰宅困難時の対応を確認しておきましょう

首都直下型地震は、今後30年以内に70%の確率で発生すると言われています。

「その時になってから」では間に合いません。今からできる備えを始めておきましょう。

目次