【長く生きて来られた皆様へ】ヒートショックの季節にご注意ください
①ヒートショックとは？
「ヒートショック」とは、急激な温度差によって身体に強い負担がかかり、血圧が大きく変動することによって起こる健康障害のことを言います。特に冬場、暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室に移動したとき、逆に熱いお風呂から急に冷えた空間に戻ったときなどに起こりやすくなります。
ヒートショックによって引き起こされる症状は、
- 脳梗塞
- 心筋梗塞
- 不整脈
- 失神や意識障害
など、命に関わるケースも少なくありません。特に高齢者は血圧の調節機能が弱くなっているため、若い頃は問題がなかった人でも、加齢とともに発症リスクが高まります。
②身近な場所が“危険地帯”になる？
ヒートショックのリスクが高い場所は、家庭の中でも以下のような場所です：
- 浴室・脱衣所：暖かい部屋から寒い場所へ移動する際の温度差
- トイレ：暖房が入っていないことが多く、急な寒さにさらされやすい
- 廊下・玄関：夜間にトイレに起きた際など、急な寒気にさらされる
- 寝室の冷え込み：起床時の体温変化と寒暖差で血圧が乱れる
特に「一人暮らし」や「高齢者夫婦のみ」の家庭では、急変に気づかれず発見が遅れるというリスクもあります。
③どんな人がヒートショックを起こしやすい？
ヒートショックを引き起こしやすい要因として、次のような条件が挙げられます。
- 高齢者（65歳以上）
- 高血圧・糖尿病・心疾患を持っている人
- 飲酒後に入浴する習慣のある人
- 長湯を好む人
- 真冬でも浴室や脱衣所を暖めない家庭
体が冷えている状態でいきなり熱いお湯につかると、血圧が急上昇し、のぼせたり倒れたりすることもあります。
また、逆に長湯で血圧が下がった状態で立ち上がると、立ちくらみ→転倒→頭部を打ってしまうなどの二次被害にもつながります。
④ヒートショックを防ぐための具体策
では、どのようにすればヒートショックを防げるのでしょうか？すぐに取り入れられる対策をご紹介します。
浴室・脱衣所を暖める
- 小型のセラミックヒーターや脱衣所用暖房などを設置して部屋をあたためるなどの対策を行いましょう。
- 入浴前に浴室全体をシャワーで温めておくのも有効です。
お湯の温度は41℃以下に
- お湯の温度は熱すぎないように38〜40℃程度にしましょう。
- 熱すぎる湯船は血圧の急上昇につながります。
入浴前後の水分補給を忘れずに
- 入浴前後にコップ1杯程度の水を飲むことで、血液のドロドロ化を防げます。
入浴は食後30分以上あけて
- 消化のために血液が胃に集中しているときに入浴すると、脳や心臓への血流が減ってしまうため危険です。
家族と一声かけてから入浴を
- 一人で入るときも、「今からお風呂入るよ」と周囲に伝えておくと安心です。
- お年寄りの入浴時には、できるだけ家族が近くにいる時間帯を選ぶのが理想です。
⑤もし倒れてしまったら？家族が取るべき対応
入浴中や脱衣所で意識を失ってしまった場合は、すぐに119番通報し、救急隊の指示を受けながら対応することが最も安全です。
特に高齢者の事故では、無理に動かすことで骨折や内臓損傷のリスクもあり、判断が難しい状況もあります。
あくまで救急隊の指示を優先してください。
個人の判断で無理に動かすことはかえって危険です。
あくまで応急処置は“救急隊の指示に従って”行うようにしてください。
また、万一に備えて防水型の呼び出しブザーや、簡易的な見守り機器などを設置しておくとより安心です。
⑥まとめ：ヒートショックは「備え」で防げる身近なリスク
ヒートショックは、ほんの些細な油断や習慣が引き金になる「見えない家庭内事故」です。
特に高齢者は、自覚がないまま身体が冷えきっていたり、脱水症状が起き始めていることに気付かないまま、無理に入浴してしまうこともあるため、周囲の配慮が重要です。
「寒いから」「いつも通りだから」で済ませずに、体調・室温・時間帯に応じて柔軟に対応することが何より大切です。